※この記事はタリキチプロジェクト1期生原田透さん(通称:とーるちゃん@maron10ru3)の撮影したタリキチの写真とともにお送りいたします。
この2019年5月末日を以てタリキチを閉鎖することとなりました。
理由はとてもシンプルで、「私たちがやる必要がなくなったから」というものです。
これはポジティブな意味なのですが、そこに至った経緯と経営判断をお伝えできればと思います。
オープンする前の2017年初期の京都市では、研究機関・中小企業・大企業・非営利団体など様々なセクターがひしめき合い、学生密度日本一である一方で、起業を志す若者が集まり繋がる”場所”がほとんどありませんでした。
その中でセンスあふれる大切な友人たちが起業を志して孤独に戦っている姿を見て、「こんなに面白い人たちが環境がないというだけで苦しい思いをするのはとてももったいない。創業直前・直後の若手起業家に特化したインキュベーション施設を作れば、彼らの力になれるし、京都に起業家エコシステムを形成できるのでは」とメンバーたちと話していました。
そして2017年11月末に任意団体だったtalikiを法人化させ、資金調達を行い、2017年12月23日に若手起業家・社会起業家が繋がり、支え合い、切磋琢磨しあう場所としてtalikiの基地=「タリキチ」をオープンさせました。
その中で「タリキチプロジェクト」という起業家育成プログラムや各種イベントを運営し、多い時は月に何百人もの方がタリキチを訪れ、70人以上の起業家の卵たちを”タリプロ生”として迎え入れ、応援してきました。
さらにたった一年間でその中の半数以上の若者たちが、創業・自身のプロジェクト立ち上げ・タリプロ生のプロジェクトにジョインなどの形で巣立っていきました(詳しくは各記事にて。本当に素晴らしい起業家たちです)。
2018年に入ったあたりから、京都市において大企業・地銀・行政などが牽引するスタートアップエコシステムやオープンイノベーションの動きが本格化し、京都市内に様々な起業支援の施設がオープンしました。
「起業家たちを孤独にしないこと、彼らにセーフティネットを張り続けること」をモットーとする私たちとしてもこの変化はとても嬉しく、微力ながらその動きに貢献できているという手応えも感じていました。
一方で、国内外問わず様々なコワーキングスペースやインキュベーション施設を訪問しながら「施設のようなハードはたくさんあるし今後も増えていくだろうけど、ソフト面の支援を行うプレイヤーが圧倒的に足りていない」と以前にも増して感じるようになりました。
さらに私たちが運営するコワーキングスペースは、wifiも激烈に遅く、法人登記も出来ない場所で(下半期には空調も調子が悪くなり)、施設単体でのクオリティはそこまで高くありませんでした。
そこで、施設のようなハードは他のプレイヤーの方々にお任せし、私たちの強みである「存在肯定と成長を両立させる、真に起業家に寄り添うソフト面のサービス」に経営資源を集中させるために、タリキチの閉鎖と、各既存施設へのサービス提供を開始することとなりました。
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「死にたい」という学生と向き合ったり、徹夜でサービス開発をしたり、壁一面に映画を映して皆で見たり、カーペットに包まって寝たり、知らない人同士で突然たこ焼きパーティーをしたり、投資家に本気のピッチをしたり。
起業家に限らず、学生・エンジニア・NPO・投資家・大企業の方々や、外国の方・幼児・ホームレスの方など、本当に色んな人が訪れ泣いたり笑ったりした、たくさんの思い出が詰まった場所でした。
色んな方々にとって、またtalikiにとって、前進のきっかけとなったタリキチ。
そんな場所としてあり続けられたのも、心から誰かの幸せを願ったり、夢に向かって挑戦したり、時に絶望に苛まれたりしながら今を生きる、タリキチに来てくださった全ての方のおかげです。
一年半という短い間でしたが、遊びに来てくださり、応援してくださり、家具や物品を提供してくださった皆様、本当にありがとうございました。
(ちなみにタリキチの家具たちは新たに起業した方々にお譲りし、余ったものは新しい事務所に移すことになりました(これはまた後日お知らせします)。)
そういう訳でとてもポジティブな理由で京都市の烏丸今出川にあるタリキチは閉鎖しますが、上記のようによりソフト面でのサービス提供が加速してまいります。特に今週はリリース祭です!
引き続き変わらぬご愛顧賜りますよう、お願い申し上げます。
2019年5月25日
株式会社taliki代表取締役 中村多伽
(以下、主に代表中村が撮影したタリキチの思い出です。)