talikiは2017年12月、オフィス兼コワーキングスペース※「タリキチ」を立ち上げた。
なぜ、いまなのか。
なぜ、ここなのか。
株式会社taliki代表取締役の中村多伽に話を聞いた。
中村多伽:
京都大学総合人間学部文化人類学専攻。カンボジアへの教育支援、ニューヨークへのビジネス留学や現地の報道局でのインターン、舞台・映画・ライブへの出演等を通して、「マスを変えること」に興味を持つ。taliki代表。
※コワーキングスペース…事務所スペース、打ち合わせスペースなどを共有しながら独立した仕事を行うことが出来る場所のこと
―オープンおめでとうございます。今はどんなことされてるんですか?
ありがとうございます。
今は登記手続きや不動産契約でバタバタしていたのがひと段落したところで、コミュニティとして活性化しそうな空間づくりなどのハード面の作りこみを建築や心理学に精通する人々と共にしています。
また、参加者の説明会、フォローアップ、メンターやスポンサー様との調整、コンテンツ作り、タリキチのためのネットワーキングなどのソフト面での活動もしています。
―おお…。大変そうですね。
至らないことも多くて毎日100回くらい関係各者に謝ってますが、オープンや今後の動きが楽しみなので意外と余裕で頑張れますよ。
でもご迷惑をおかけしている方は本当にすみません。
―(笑)早速本題ですが、タリキチとはどんなものですか?
タリキチとは、taliki(タリキ)の基地という意味で、その名の通り株式会社talikiのオフィスです。ただ私たちの目的は「社会課題解決人材を増やし、活性化すること」なので、そんな人を応援できるような仕組みづくりをしています。
たとえば初っ端から始まる「タリキチプロジェクト」は簡単に言うとアクセラレータ―※のようなもので、夢や構想はあるけれどもそれを実現するのにリソースが足りない人たちをサポートし機会提供するプログラムです。
※アクセラレーター…設立間もないスタートアップが成長するためにサポートする場・プログラム。
―具体的にはどんなサポートですか?
関西に住む25歳以下を対象に、社会の笑顔の総量を増やすための持続可能なプランの事業化において、二か月間かけて「やりたい」から実現までをサポートします。
オフィスを完全に参加者に解放するというハードの提供はもちろん、投資家やビジネスマン、ソーシャルセクターで活躍している人、地域の人、行政など様々な人々を効果的に巻き込み、繋がりを作ることや、U25のコミュニティの活性化などで人材・情報・資金の面でもサポートが出来ると思います。
―結構、幅広いですね。
そうですね。私たちは京都で、「若手の社会起業家のための生態系」を作ろうとしてるんです。
京都市というところは、規模感は決して大きくはないけれども、アカデミアが多く学生密度が日本一で、歴史的な資産にも恵まれ、ニューカマーも多く、世界的に知られている。すごく不思議な街です。京都以外の方にも常に注目されていますよね。
これらの社会資本をどんどんカタチにしていくと、自然とエコシステムになっていくのでは、と考えました。
―参加者が若者というのもそこからきてるんですね。
そうなんです。
京都の大学生たちは、京大・同志社・立命・工繊・造形などなど、様々な分野の様々なバックグラウンドを持ちながら一か所に固まって、お互いを刺激し合い、ユニークな視点を相互関係の中で作り上げていて、とても面白いんです。
一方で、例えば起業やインターンなどの環境だったり、面白いイベントや著名人に会える機会などはほとんどが東京に集中しています。でもこの京都の若者達が、京都に住んでいるというだけで、つまり「お金がない」とか「馴染みがない」というだけで機会に恵まれないのはとても勿体ない。
それなら私たちが機会を作ればいいじゃん!なんなら東京よりもより密で、ここにしか出来ないエコシステムを作ろう!という感じですね。
―どんな学生に来てもらいたいですか?
説明会を毎日開催しているのですが、毎回「強くて優しい人を増やしたい」と言っています。
思考力、知識、やり切る力などの「強さ」と、相手の背景まで理解し、本質的に何が求められているのか考える「優しさ」を身につけ、京都だけでなく日本、世界で活躍できる人材になれるようなプログラムを用意していますので、それを手にする努力を惜しまない人は大歓迎ですね。
―学生たちは、タリキチプロジェクトが終わった後はどのような活躍が出来るのでしょう?
基本的に自由に羽ばたいてくれ!と思っています(笑)
タリキチプロジェクトに興味を持った時点で、すでに人の笑顔を増やす幸福感を知っていると思うので、存分に身に着けた力を発揮してほしいですね。
ただ、「本質的であること」は追求し続けていてほしいなと思っています。
例えば社会貢献と言うと「社会貢献なんだからお金をとるな」とか「人を笑顔にするって言ってる人はゆるふわ」とかよく言われるんですよね。
しかし、継続性を担保するためには安定したマネタイズのモデルが必要ですし、インパクトを出すために優秀な人を仲間に入れる必要があります。
ビジネスモデルそのものでは収益性が低い場合が多い中で、泥臭く勝ちパターンを見つけ資金を集める気合いも必要です。
「社会貢献の一手を担っていないビジネス」というのは突き詰めると人に求められていないということだと思いますし、全てのビジネスマンは長期的なビジネスに不可欠である持続可能な社会をつくる責任があると思っています。
このような資本主義社会の中での様々な葛藤や矛盾に真っ向から挑戦する、本質への貪欲さは常に持って活動してほしいし、私も絶対に忘れたくないと思っています。
―なるほど。そのように社会貢献に強い意欲を持つ中村さんの源はなんですか?
うーん。実はめちゃくちゃシンプルで、ただ単純に「生まれてこなければよかった」と思う人がいたら嫌なんですよね。
自分も嫌でしょ、「ああ、今日も一日頑張って生きなきゃ」とか思いながら朝起きるの。
そう思ってる人が少しでも減るような活動をしている人を全力で応援したいし、社会にも応援される仕組みを作りたいし、それを成し遂げた彼ら自身や応援した周りの人びとが笑顔になれたらいい。
そしてそれが世界にとって当たり前であってほしい。
―素敵ですね。最後になりますが、これを読んでいる人々にメッセージをどうぞ。
読んでくださってありがとうございます。
日本も、世界も、必ずいつか破綻しますし、犠牲も必ず生まれますし、正義なんて存在しません。盛者必衰です。
でもみんな生まれてきてしまった訳ですから、死ぬまであと何日か何年かわかりませんが、楽しいと思えた日や、「生まれてきてよかった」と思える人が多くいるに越したことはないと思うんですよ。
なので、現状の問題を解消することはもちろん、いつ破綻のサイクルが来ても、課題が自然と解決されていく仕組みづくりをしたい人はぜひタリキチに遊びに来てください!お待ちしてます。
―ありがとうございました。
ありがとうございました!